脳梗塞

直接には高血圧とは関係ないが

 脳梗塞とは文字通り、脳の中の血管がなんらかの理由によって詰まってしまうことをいいます。血管が詰まってしまうと、その先に血液が流れなくなってしまいますから、当然、脳細胞は壊死してしまいます。

 詰まるものとしては、心臓でできた血栓(血の固まり)などがあります。この場合は、脳塞栓といい、直接には高血圧とは関係がありません。関係あるのは、動脈硬化によって生じる脳血栓のほうです。

 動脈硬化が起こると、とくに細い血管では血栓が発生しやすくなります。血管の内腔が狭くなり、そこに血栓が生じる場合や、他の部分の血管内壁がはがれて、それが詰まってしまう場合があります。

 脳細胞はたえず大量の栄養と酸素を必要としています。ですから、わずか数分流れが途絶えただけで、脳細胞は破滅的なダメージを受けてしまいます。

 血圧との関係でいえば、長期的には高血圧による動脈硬化の進展がいちばん重要な原因です。また一時的な問題としては、一過性の血圧の低下に影響を受ける可能性があります。血圧の低下により脳循環の障害が生じ、動脈硬化を生じた部分の血液の流れの遅滞が生じ血栓ができやすく、また生じた血栓が洗い流されずに脳血栓を進展させる可能性があるからです。

自覚症状はほとんどない

 睡眠中に発生することが多いようです。日中は比較的高めの人でも、睡眠時は一般的には血圧は低くなっています。

 動脈硬化を起こしていると、血管が細く、しかも柔軟性がほとんどありませんから、血栓が発生しやすくなります。とくに脳の血管は細く、たくさんありますから血流阻害が起きやすいのです。

 本人は眠ったままですので、あまり自覚症状がなく、朝起きたときに、手足が痺れていたり、舌がもつれて言語が不明瞭になったり、視野が欠けたりといった症状にはじめて気がつくのです。

 最近の調査では、こういった小さな抗血栓が成人には多くみられるそうです。また本人に自覚症状がないのは、意識障害とか半身麻痺といった大事にならないからで、潜在的には脳の血流障害を起こしている人は半分近くいるのではないかともいわれています。

脳軟化症を起こす

 一般的に60歳以上の人に多くみられ、過労や飲酒といったことが直接の原因となります。

 軽度の場合は、直接生命の危険はなく、本人も「少し言葉がもつれるな」といった程度の自覚しかありませんから、そのまま放置されることが多いようです。ただし、こういったことが何度も脳の中で発生すると、脳全体の機能が低下し、また死んだ脳の細胞が溶け、脳軟化症といった事態を引き起こす危険性が高くなります。

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