塩は血圧上昇のもとになる?
塩分のとりすぎは高血圧の原因になるということが広く知られていますが、これは本当でしょうか。
塩分が血圧を上げるメカニズムにはナトリウムが関係しています。正常人で普通の塩分では高血圧は簡単にはできませんが、腎臓に障害の発生している腎不全や原発性アルドステロン血症のような二次性高血圧の状態ではナトリウムが蓄積しやすく、食塩を少しとりすぎると循環血液量が増して、血圧の上昇をまねきます。本態性高血圧ほどではありませんが血圧が上がります。また内因性ジギタリス様物質というナトリウムも血圧上昇に関係しています。
本態性高血圧の膜異常説によれば、血管壁内の平滑筋細胞の内側にナトリウムの濃度が増し血管が収縮し血圧を上げます。
塩を減らせば血圧も減る
1日に必要な塩分の量はだいたい決まっています。が、これも個人差があって体質に左右されます。
高血圧ぎみの人は1日4~6グラムを摂取することによって血圧をコントロールすることができるとの報告があります。
では日本人の平均摂取量はどれくらいなのかと調べてみると、1987年の国民栄養調査ではなんと11.7グラムという数字がでたのです。
(厚生労働省のホームページで最新版がごらんいただけます)
これが多すぎる量なのかどうかは個人の味覚の問題、あるいは体質の問題がありますからなんともいえませんが、高血圧症の気がある人にとっては要注意の数字ということができるのではないでしょうか。
高血圧を予防する意味では、1日10グラム以下に抑えるのが賢明だと考えます。
ただし、塩分を減らしすぎると味覚の点で物足りなさを感じるかもしれません。調理の方法でカバーしましょう。
塩分は味噌汁と漬物に多い
日本人の食事の内容は、どちらかというと塩分主体といえます。
味噌汁、漬物、しょうゆ、と塩分をつかった調味料が幅をきかせています。
人間が1日に必要としているナトリウムの量は1~2グラムなのです。それ以上食べたいと思うのは、味覚による食欲のものです。
脳卒中の発生分布や胃ガンの発生分布などを見ると、塩分をたくさんとっている地域に多く発生している、といった報告を聞くことがあります。
胃ガンの発生と食塩の関係は別ですが、塩分が血圧を押し上げ、動脈硬化を発生させ、高血圧性、動脈硬化症の病気の原因をつくっていると考えられています。
年々塩分の摂取量は減っているとはいえ、まだまだ「危険範囲」です。日ごろからできるだけ塩分は控えるようにしたいものです。それくらいの心構えで摂取量はちょうどいいと思います。